「スカルマン(石ノ森章太郎、島本和彦/メディアファクトリー)」を読む
石ノ森氏が作ったオリジナル版の続編としての内容と設定を島本氏が漫画化する、という企画で始まっただけあって、石ノ森テイストあふれる内容になっています。
スカルマン自体が、仮面ライダーの元になったデザインとして有名ですが。続編は悪の組織や怪人が出てくる話になっていて、しかも怪人は特撮版仮面ライダーと同じモチーフで放送順に登場するという、「島本和彦以外はやらないだろう」という感じの凝った仕掛けになっています。もちろん、原作オマージュもあれば、他作品からのゲストも有り。蜂女の設定とか、テレビと違って面白くなっています。
リアル仮面ライダー+石ノ森クロスオーバー的な見方をすると面白いです。というか、個人的に島本和彦のシリアスストーリーはコメディより面白いと思っているので、この作品、好きです。
さて、【ネタバレ】有りで行きますと。
オリジナル版はスカルマンが両親の復讐のためにテロを起こしつつ相手に迫る、という内容ですが。ラストで両親こそが悪であり、復讐相手が祖父だったというどんでん返し&全員死亡エンドだったわけですが。
作品内でわずかに見せていた超能力描写によって助かっていたことになり、今度は祖父の側に立って両親の元助手の組織と戦う、という話になっているのですが。
ともかく、スカルマンが何をやりたいのかさっぱりわからない。島本先生としては、正義の味方出ない主人公を描くことが出来ないようで。敵組織と戦っているはずなのに、いかんせん中途半端だし。敵組織側も当初は「組織としては」歯牙にもかけていないという感じで、単発的に怪人がちょっかいを出してきているだけだし。そうやってぐだぐだしているウチに打ち切りにあってしまった、という感じです。
個々のエピソードは面白いのですが。スカルマン=千里竜生のダークヒーロー的な部分が優柔不断に見えて。これは、悩める石ノ森ヒーローと優柔不断な島本ヒーローの悪い意味での融合?そのあたりが読者にいまいち伝わらなくて、もどかしいという感じです。
009っぽい人の登場以降、島本先生は吹っ切れたようですが。
オリジナルのヒロインが思わせぶりだけで終わってしまったのもねぇ。
後半は、蜂女のあたりから戦闘員=眷属が大量に出てきたり、藤岡弘似の刑事さんが改造されたり、加速度的に面白くなっていくのですが。
ストーリーの方向性が出てきたあたりでENDになってしまうのが、漫画版の仮面ライダーと同じで……結局、これ、仮面ライダーなんだけど、ライダーとスカルマンが別にいて、スカルマンは一歩引いた傍観者的になってしまっていたためにストーリーの盛り上がりが遅れてしまっていたような。
ラストで、仮面ライダーから未来忍者編ということで変身忍者嵐にストーリーがバトンタッチする上に、それが石ノ森章太郎アイデアだったというだけでも驚きですが。ラスプーチンの本体は生きているみたいだし、両親も下手すると生きているっぽいし。見開きからすると、キョーダインやらゴレンジャーやらキカイダーやらイナズマンやらロボット刑事やらの石ノ森特撮ヒーロー総登場のクロスオーバーが予定されていたとすると。続きが気になって仕方ないのですが、こればっかりは石ノ森プロがGO出さないと再開出来ないでしょうから無理なんでしょうねぇ。
島本先生、最近社長業が忙しくて同人でも描いてる暇なさそうだし。非常に残念です。
ちなみに、蜂女の眷属の三つ編みの子がかわいかったのですが(笑)。
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