ホームページ

  • 虚弱庵
無料ブログはココログ

twitter

  • twitter

« 「イセングリムの夜警(紫堂恭子/朝日新聞出版)」1巻 | トップページ | 「マシーネンクリーガー グラフィックスVol.1(大日本絵画)」 »

2012年7月17日 (火)

「それは私と少女は言った(タカハシマコ/講談社)」少し解題

暑い!暑くて死ぬ。というか、珍しく連休だったのに、全く部屋の片付けが進んでいない。そして、部屋の中が暑い(パソコンの廃熱も問題だな)。あまりに暑くて、川に行ってもカメが甲羅干しをしていない。そして、川の中で暴れている物体が、「鵜」であることが発見された。川上に向かって泳ぎながら、潜水艦のように浮上してきたのである。自然の生き物にはいつもビックリさせられる。

ブログ版の左端には検索ワードが表示されるのだが。「それは私と少女は言った(タカハシマコ/講談社)」が非常に多い。やはり、この作品を読んだ読者は言いようのない虚無感に襲われるのだろうか。とはいえ、前回、ぱっと読んだ感じの内容について述べたし。基本ストーリーは「鳥子の周辺にいた少女たちの鳥子への想いが彼女の死とどう繋がっていたか」であり、作品のバックにあるミステリー部分である「なぜ鳥子は死んだのか」という部分に関してはバックだけにわかりにくいというか、背景で起こっている鳥子の日記を含めてワザと結論を出さないようにしている部分があると思う。
まー、とはいえ、最後の鈴芽の話がすべての結論という点は変わらないのだろうけど。

というわけで【ネタバレ】が濃いので、まだ読んでいない人は控えるのがよろしいかと。

映美の場合は、小学生くらいの時には良くある話である。実際の裏はともかく、表面的には鳥子の側にも問題があったからどうこうという点はない。ただ、鳥子を特別とする感情が映美に嫉妬心を抱かせていただけである。
咲菜の場合は現在のイジメの情景にもつながるものだが、これまた鳥子自身がどうしようもないことであり、手紙以外に困ったことがなければ「死」へと直結するものではない。これも咲菜自身の問題であり、彼女の理想を鳥子へ反映させ続けた病的心理が彼女の死後も増大しつつ自分へと帰って行く問題の提起である。まー、彼女の場合、親がロクデナシなので、大人に対する不信感=ピーターパンシンドロームというのが根底にあるのだろうけど。
ちなみに、鳥子がそのまま大人になっていたら、思い出すのは栗山千明さんである。少女時代のモデル経験。大人びた長い髪の美少女。すぐに彼女が思い浮かびました。大人になったらどうなったのか。映画で鉄球を振り回したり、シンジくんとカヲルくんの仲を熱く語ったりする大人になりました(笑)。美女であることは変わりないと思いますが。やはり、咲菜にとっては外見とかではなく、大人になることで周囲のロクデナシのようになっていく事への嫌悪感がすべてなのでしょう。
ヒバリの場合も大人に対する不信感であり、どっちかというと鳥子自身にはポーチのこと以外はあまり向いていないのだろうけど。鳥子はショックだったかもしれないわな。真似し真似されという、このあたりの話も小学生くらいの時にはわりと良くある話なのではないかと思うけど。これが病的になるのは、やはりオヤガロクデナシだからという結論でいいような気がする。というか、「親が彼女自身を見ない」という点は、鳥子を巡るすべてのストーリーラインに対する伏線かもしれない。
鳩村は関わりが少ない分、話自体がインターミッション的というか。どちらかというと、鳥谷の行状に対する伏線かと思う。このあたりで、次の鈴芽の回に対する伏線が揃ってきたというか。
そして、鈴芽の回。彼女が鳥子と双子であろうことは想像に難くないが、もしかすると年子で同じ学年という可能性もあるので(「鳥子の場合」からなんとなく)、なんともいえない。そして、両親が離婚してそれぞれが引き取られているにもかかわらず、どちらの親も鳥子を特別視しているというのが根底。そして、親戚もすべて鳥子を特別視している。それゆえ、鈴芽自身は「自分が望まれていない」という思いが強すぎてダメになっている。鳥子ではなく、彼女が望まれたい、という潜在的な欲求はあったのだろうが、その辺を更に悪化させたのが、母の弟である鳥谷。小学生とホテルに入る時点で犯罪者であるが、相手が姪なのでそっちでも犯罪者。それでも望まれていると鈴芽は思っていたのだろうけど、彼は鳥子に対する代替品としか思っていなかったという皮肉。それゆえ、鳥子に憎まれること=自分が特別にその人に思ってもらえている時、という図式を作ってしまったのが彼女の闇だろう。それも、鳥子の死によって、永遠になくなってしまったのだが。
皮肉なのは、鳥子も「特別視される自分」を嫌っており、鈴芽を羨ましいと思っているであろう事。だから、彼女をうらやましがらせたいとも思うのだが。鳥谷の件で、いつも「特別視されている」自分が「特別でなかった」事に腹を立てているのだから、特別とかそうでないとかいうよりも「隣の芝は青い」が正解なのかもしれない。
鳥子の自殺は鳥子が死のうと思ってやったのではなく、単に頭に血が上っていたためだけであって、あの時タイミング良く電車が来なければ、そのあとは鈴芽に馬乗りになって殴りかかるケンカになっていたのではないかと思う。そうなれば、歴史は変わっていたのだろうが。どちらにしろ、モデルになったり、映画に出たり。鳥子自身が小学生という身分で母親の影響下から脱せ無かったわけだから、どうしようもなかったとは思うのだが。
よく見れば、鳥子と鈴芽はそっくりなのに、何が彼女らを隔てたのか。私はメガネの娘の方が好みなのだが、そういうことは言ってはいけないのか(笑)。

とりあえず私が思うのは「鳥谷、最後に屋上から落ちて死んだんなら、ざま見ろ」ってことですかね(笑)。この作品に出てくる大人は誰も彼もが最低なロクデナシですが、その中でも飛び抜けて最低な奴ですから。

« 「イセングリムの夜警(紫堂恭子/朝日新聞出版)」1巻 | トップページ | 「マシーネンクリーガー グラフィックスVol.1(大日本絵画)」 »

アニメ・コミック」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/586276/55213001

この記事へのトラックバック一覧です: 「それは私と少女は言った(タカハシマコ/講談社)」少し解題:

« 「イセングリムの夜警(紫堂恭子/朝日新聞出版)」1巻 | トップページ | 「マシーネンクリーガー グラフィックスVol.1(大日本絵画)」 »

2017年6月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30