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2013年8月15日 (木)

「風立ちぬ(スタジオジブリ)」

「風立ちぬ(スタジオジブリ)」見てきました。
堀辰雄氏による「風立ちぬ」「菜穂子」は読んでおりませんが、あらすじくらいは知っています。原作のモデルグラフィックスに連載された宮崎駿による漫画は読んでおります。ただ、単行本化したらゆっくり読むつもりだったので……。
という感じの前情報で見てきました。映画自体の情報は0に近い感じで。
この話は堀越二郎氏の九六式艦戦の設計話と堀辰雄の小説を合体させて作られた謎の作品です。
で、見終わって切なくて疲れました。一人じゃなければ耐えられるのかもしれませんが、一人で見に行くと悲しいです。子供連れ出来ている人たちは子供が後半耐えられなくなっている感じがありました。カップルが正解でしょう。原作漫画に比べて、大幅にラブロマンスになっています。
原作漫画ではメインは堀越氏の設計に関する話がメインで、いかにも宮崎氏の妄想戦記的なものでした。登場人物も氏の戦争物の定番、すべてがブタでした(ヒロイン以外)。前半は飛行機の蘊蓄ばかりで。後半は雰囲気が変わってヒロインとの出会いから信州の療養所と名古屋を往復する堀越の話が漫画的なロマンスとして挿入されていましたが。それでも、描写はあっさりとしたもので、ヒロイン自体の描写が極端に少ないイメージでした。
それゆえに、映画が「大人のメロドラマ」になっていたのには、結構ビックリしましたわ。これは、堀辰雄の小説のエピソードを解体して、必要な部分を再構成して純愛ものにし上げるということをやった挙げ句にうまいこと入れ込んでいる、というわけで。それゆえ、ラストは泣ける描写です。漫画版のあっさり感に比べると、バッサリ感と言うべきか。そのラストのあっけなさは、ラピュタ以降に私が感じている宮崎作品の物足りなさを具現化しているようであるが、まぁ、原作からしてそういう作りだったから仕方ないか。

さて【ネタバレ】をしてでも、もう少し突っ込むと。

原作、映画双方に於いて、ヒロインである菜穂子の死亡時期が全く語られていない。原作では、設計が佳境に入って見舞いに行けずじまい、という尻切れトンボであったのが、とりあえず、試作機完成まではいっしょにいた、ということになっているのが一番の大改変である。これによって、ヒロインとの結び付きがより大きくなっている。
ちなみに、パンフレットや宣伝媒体で零戦の設計の物語となっているけど、零戦はラストにちらっと出てくるだけで。全編を通して語られる逆ガルの戦闘機は九六式である。大衆に対するわかりやすい宣伝とはいえ、何か釈然としないものを感じる。
ともあれ、一般向けということで、連載時にあった蘊蓄的な物は徹底的に排除され、感覚的に語られるものがほとんどになっている。それゆえ、個人的な感覚としては全編の半分以上を占める設計に関する部分は、ヒロインとの恋愛パートに比べると薄くなっていると思う。夢の中の大型機の描写も、ファンタジー色が大きいと思うし。
逆に、富士の療養所の描写が少し入っただけで、凄いリアリティが出て、クラクラした。最後に、再びあそこに一人で戻り、一人で死んでいっただろうヒロインの事を想うと、かなりショックが大きいです。実際の堀越は普通に結婚してしたので、これらの事に対する問題はないですし。堀は彼女と療養所で最後までいっしょにいたようですし。
そして、堀越自身が最後に零戦を見ていますが、その後に設計された雷電の全く別方向に走ったような形状や、烈風の開発の遅れ、逆に言うと彼一人に科せられた仕事量の問題。10年という言葉に縛られるなら、YS-11開発の頃や、大学で教鞭を執った頃の仕事は(日大で堀越氏の講義を受けたという人が会社の偉い人にいました)。何か、凄いむなしいものを感じました。
その10年で飛行機設計と恋愛に燃え尽きたような堀越二郎というこの「映画」の主人公。ラストシーンで零戦の編隊は戻ってくることはなく、彼女も行ってしまう。それでも生きようとする。その姿に学ばねばいけないのだろうが。
どうしても、悲恋の物語としての部分が強調されてしまう。
そんなわけで、見終わって今現在は鬱々とした気分になってます。
だからカップルで見に行った方が良いよ(笑)。

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