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2014年5月18日 (日)

「零戦(堀越二郎、奥宮正武/学習研究社)」

パイオニアがオーディオなど映像・音響機器事業の売却を検討しているらしい。景気が悪くなると、リストラ、部門縮小を繰り返していたけど、とうとう。パイオニアのオーディオは線の細い綺麗な高音を出してくるので好きなブランドなんですが。意外とラインナップが時期によって偏っていて、ベーシックなものを欲しいのに機能特化したようなモノしかなかったりするために、選択肢から外れることも多かったり。ターンテーブル式CDプレイヤーとか、安定していて好きだったのになぁ。

こないだ二次資料で色々書いたけど、やはり一次資料を当たらないと不公平かということで。
「零戦(堀越二郎、奥宮正武/学習研究社)」を読む。昭和27年(1952年)という、まだ戦後レジームに縛られている頃に書かれた、戦前・戦後の日本航空機開発史をまとめたものです。このため、前文などにおいても、戦争に対する反省文が随所に断り書きのように入っており、まだ、兵器に対する風当たりが強かったことが偲ばれます。
本のスタイルとしては、本文の全体構成は航空参謀であった奥宮氏が書いていますが、随所に堀越氏の文章が挿入されています。
タイトルは零戦となっていますが、実際には戦後に途絶えた航空機開発について、まとめた本になっています。むろん、資料提供・監修全般を堀越氏が担当しているため、三菱側からの見地によるモノとなっており、他のメーカーのものや堀越氏の見識のないものについては簡便な解説になっています。このため、九六式艦戦、零戦、雷電、烈風に関しては詳しくなっています。これらの開発に関する記述は詳細ですが、堀越氏の立場上、初期設計にしか関わっていないことが多くて、試作時の話が最も生々しかったりします。
また、有名な「誉批判」「紫電改嫌い」も文章を読んでいると良くわかるもので。「誉」の出力低下については中島で設計をしていた中川良一氏も他の書籍で「量産時の吸排気ポートや吸気系通路の鋳物の型崩れ」によるものとして堀越氏には悪いことをしたと述懐しているが。文章を読む限りでは、堀越氏はそもそも誉の設計に無理があるものとして、烈風の設計当初から批判を繰り返しており、実験データによる批判は後付のように感じられる。また、烈風試作時に二等品の誉を掴まされたせいで烈風自体の評価が低かったことを根に持っているような感じで、他の誉を用いた飛行機が性能の良い頃の誉で検査をパスしたことを再三にわたって指摘していたりする。そんな事言っても、烈風設計していた頃には三菱のハ四三は出来てなかったじゃん。あと、ハ四三も量産時には故障頻発という話もあるし。エンジンに関しては、既に、日本の工業生産能力自体の限界を超えていたということが根本原因にあって、そこは誉でもハ四三でも同じだったのではないのだろうか。
また、紫電改についても酷評が多く、そもそも強風→紫電から紫電改への設計変更はほとんど新規制作に近いものなのに、あくまで戦前設計の強風の改良品扱いしているあたりに疑問が残る(専門家の目から見るとそういうものなのか?)。というか、烈風の方が性能いいのに主力機としてのコンペで落ちたことを逆恨みしているような感じがするというか。空戦フラップとか、技術的な部分については冷静に解説しているのですが。
ということで、まぁ、色々な本に載っている堀越氏の逸話のタネ本の一つなわけですが、雷電の視界不良の件については忸怩たる感が伺える一方、烈風については擁護論が延々と載せられており、設計に対する自信と、評価されなかったことに対する悔しさがにじみ出る内容となっています。そのあたり、YS-11の頃の人となりと比べるとまた違うような感じも受けますが。こういった二次的な文章を読んで違和感を感じた人は、素直に一次資料であるこういった本の中の堀越氏の文章を実際に読んで、自分の頭で感じたことをよしとすればいいのではないかと思います。

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