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2016年3月20日 (日)

「地獄の辞典(コラン・ド・プランシー/講談社)」「堕天使がわかる(海法紀光、坂東真紅郎、森瀬繚/ソフトバンククリエイティブ)」を読む

「地獄の辞典(コラン・ド・プランシー/講談社)」「堕天使がわかる(海法紀光、坂東真紅郎、森瀬繚/ソフトバンククリエイティブ)」を読む。
「地獄の辞典」は「ベルまま(matoba)」で推薦されていた本です。原書は1818年の発行で、その後の悪魔学や小説にかなり大きな影響を与えたと言われる本。いわゆる古典として、それまでの本の内容についてまとめられているので、西洋における古典的悪魔学の考察をするのによろしいような本です。訳としては、1/10の縮約だそうで、結構残念な感じがありますが、それでも結構なボリュームがあります。内容的には、キャラクター的な悪魔に関する解説と、悪魔や地獄に関する用語や出来事などについて記されています。先日も書いた「悪魔の事典」と比べると解説のボリューム的には見劣りしますが。訳の問題かもしれませんが、こちらはともかく読みやすく、頭から普通に読みこなせます。また、それぞれの悪魔に関する記述は簡潔ですが、ブルトンによる挿絵が付いており(絵があるものを優先的に翻訳している)、辞典的な意味でも使いやすくなっています。特に、ブルトンの挿絵は、それまでの聖書などによる解釈から、現在ゲームなどで使われている一般的な解釈への転換になったものも少なくないようで。つまり、ブルトンによる悪魔の創造が現在に連なっていると思うと興味深いです。ベルゼブブが髑髏模様の蠅になったのもこの人のせいだし。ベルフェゴールとか、若い女の姿で現れるとかいうのに、便器に座った魔神という謎のものになっているし(如何に、他の宗教の神様をおとしめようとしているのかがわかるレベルの悪意だわ)。
ともかく、当時のカトリック教会の世相を反映している内容ということもあって、古典的な「地獄と悪魔の概念」を探るのに、面白い本だと思います。
ついでに、ソフトバンク文庫の「堕天使がわかる」は、日本でまとめられた若者向けの本で、堕天使=悪魔のキャラクターブックです。類書が沢山ありますが、この本は内容の出典をなるべくしっかり記述する方針のようで、いわゆるゲーム、アニメ的な描写がまったくないので、読んでいて「解説の軽さにめまいを覚える」ということはありません。それが悪いわけではありませんが、最近の作品での使われ方を知りたいのと、古典的・普遍的な情報を知りたいのとはまったく別物なので。そして、一番困るのは、どこから引用したかもわからないフワフワした解説の本で、「その程度の解説、儂でも知ってるわ」というのは捨てたくなります。そういう意味では、この本は非常に良くまとまっていますし。そもそも悪魔や天使については出典によって描写がバラバラだったりする(時代を反映してどんどん変化する)のですが、そのあたりのバリエーションを出典を交えて並列に記述してあるので、わかりやすく勉強になります。そういう意味では、ここの名前のある悪魔についての古典的な描写を知りたい人には良い本かと思います。挿絵がちょっとゲームっぽい荒々しい描写が多いのが、好みの別れるところかと思いますが。
この本を読んでいて、一番面白いと思ったのはヤハウェとかエル・シャダイとか呼ばれる神様が結構オソロシイということですか。人を試すのは有名ですが、ともかく他の神様(一神教の教典だけど、他神教の神が敵役として出てくる)は許さないし、その信徒も許さないし、自分の信徒も怒ると滅ぼすし。で、そんな恐怖描写に困った神学者たちが、罪を中間管理職の天使に押しつけて、堕天させてしまったような感じで。こんなこと、日本人じゃないと書けないかもしれないナーとか、考えさせられてしまいました。
どちらの本も、手元に置いておきたい本ですな。

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