ホームページ

  • 虚弱庵
無料ブログはココログ

twitter

  • twitter

« バンダイビジュアルより「ガールズ&パンツァー劇場版 皆さんお疲れ様でした本」「戦車道少女寫眞集 弐」「戦車道少女寫眞集 参」が着弾。 | トップページ | 「猫瞽女(宇河弘樹/少年画報社)」3巻 »

2016年7月15日 (金)

反戦プロパガンダの恐怖

まー、戦車好きとしては戦争映画なども観たりするのですが。戦争映画といってもエンタテイメントに徹した愉快なものから、やたらと悲劇性を前面に出したモノ(日本映画に多くて、見ると気が重くなる)まで色々あります。基本的に、戦争なんてろくなもんじゃないですから、人が死ぬのは当たり前ですし、悲劇を描いて平和を訴えるのも当然かと思います。しかし、そんな中でも、最高にアレな気分になるのが「ジョニーは戦場へ行った(Johnny Got His Gun)」である。
まー有名な作品なので解説するほどのこともないかと思いますが、WWIに出兵して砲撃で塹壕に生き埋めになった兵士が顔をえぐられ、壊死した手足を切り取られて、五感を失い、過去や現在を妄想したり、頭を振ってモールスしたり、そして、周りは……というような見た人みんなトラウマという話です。小説(未読)、映画共に作者はローマの休日なんかも描いた有名人ですが、共産主義者で逮捕されたり本名で執筆できなくなったりしており、小説も戦争が起こるたびに発禁になったりしています。つまるところ、プロパガンダ映画なのですが。個人的に、こういった「人の生理的嫌悪感」に訴えるような作品は好きではありません。作中のアレな性描写もキリスト教圏の人間に対する嫌悪感のようなものを煽る目的ではないかと思ってしまいます。戦争の悲劇を描くというより、「戦争に行ったら、こんなになってしまうぞ。怖いだろう」という方が強くなってしまう気がします。先日行われた参院選挙では学生にも参政権が与えられましたが、公平であるべき学校で反戦プロパガンダ映像を延々見せられたという恐るべき洗脳に関するニュースもあって、そういう意味でも嫌な感じです。

日本人としては、この小説より10年も前に「芋虫(江戸川乱歩)」が発表されており。こちらも同様の戦争犠牲者が出てくるものの。彼と彼の妻により、戦争に関わった者の狂気が描かれており、もっとずっと醜悪で、それゆえにストーリーとしての完成度はこちらが上のような気がします。そして、どちらも「そんな姿になっても、人は意志を持っている」ことが語られますが、その事実が読んだ人に突きつけてくる事実のレベルがかなり異なるような気がします。まー、「ジョニー」の主人公が世間的にも名の知れぬ若者であり、「芋虫」の主人公(実際の主人公は彼の妻)が士官で「その姿になっても凱旋」という差も大きいのかもしれませんが。それよりもやはり「通俗小説」としてろくでもない小説を書いてばかりいた江戸川乱歩と、政治的思想が凝り固まっている(と私が偏見を持っている)人間との差のように感じてしまうのです。

ちなみにこの題名、「ジョニーよ銃を執れ」(Johnny, get your gun)という南北戦争の頃から米国で兵士募集に使われていた宣伝文句に対する皮肉だそうですが。彼のオリジナルというより「ジョニーは戦場へ行った(Johnny Has Gone for a Soldier)」とか「「ジョニーが帰るとき/ジョニーの凱旋(When Johnny Comes Marching Home)」とか、戦争に行ったジョニーがどうなったかを歌った曲が色々あって、まー、その成り立ちや解釈に関してはかなり複雑なので、Wikipediaやニコニコ大百科などにも詳しいので各自調べて下さい。そして、この反戦歌としてのバージョンが帰ってきたけど目も手も足もないという歌詞の「ジョニー、あなただとわからなかった/あのジョニーはもういない(Johnny I Hardly Knew Ye)」で、そこから作られた小説が「ジョニーは戦場へ行った(Johnny Got His Gun)」らしい。
他にも、WWIの時のニュース記事を元にした言われておりますが、このモデルに関する実際の歴史的考察は「100光年ダイアリー」さんに詳しく、実際には毒ガスによる傷痍軍人だったのではないかというあたりまで辿られております。トラウマは避けられたかな?

さて、ガールズ&パンツァーにも軍歌系のBGMがいろいろあって。劇場版に「When Johnny Comes Marching Home」が使われていて、これが悲壮感漂いながらも非常にアタックの強いマーチになっていて印象が強かったのですが。
そこから映画「ジョニーは戦場へ行った」を連想してしまったのは間違いではないけど、上記説明のように直接的には全く関係ないもので(同一の原曲を元にした派生)、完全な間違いだったのだ(笑)。日本語だと同じモノの翻訳かと思ってしまうけど、「When Johnny Comes Marching Home」は「ジョニーの凱旋」であり、このタイトルの歌詞は戦意高揚の方になっているのである。
まったくもって、「知らない」というのは怖いね。

« バンダイビジュアルより「ガールズ&パンツァー劇場版 皆さんお疲れ様でした本」「戦車道少女寫眞集 弐」「戦車道少女寫眞集 参」が着弾。 | トップページ | 「猫瞽女(宇河弘樹/少年画報社)」3巻 »

アニメ・コミック」カテゴリの記事

ミリタリー」カテゴリの記事

日々徒然」カテゴリの記事

映画・テレビ」カテゴリの記事

音楽」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/586276/63916440

この記事へのトラックバック一覧です: 反戦プロパガンダの恐怖:

« バンダイビジュアルより「ガールズ&パンツァー劇場版 皆さんお疲れ様でした本」「戦車道少女寫眞集 弐」「戦車道少女寫眞集 参」が着弾。 | トップページ | 「猫瞽女(宇河弘樹/少年画報社)」3巻 »

2017年6月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30